『21世紀の不平等』アンソニー・B・アトキンソン
不平等や格差
世界には、不平等や格差がある。
20世紀の不平等とは少し違っている、21世紀の不平等について書かれています。
著者のアトキンソン氏がイギリス人なので、イギリスの不平等、格差の是正の方法などについて書かれています。
イギリスの話が主な話ですが、先進国であれば、似たような状況にあると思うので、参考になるはずです。
▼ ここに注目 ▼
「第2部では、不平等の水準を大幅に引き下げると私が信じている手法を15個
提案した。」(p.275)
「提案8:個人の所得税の累進性を高める方向に戻す。限界税率は課税所得の
範囲に応じて上がり、最高税率は65パーセントにして同時に税収基盤を広げる
べきである。」(p.216)
不平等を縮める政策
不平等を縮める政策、格差を是正する政策が15個提案されています。
その1つが、所得税の累進性を高めるようにするということです。
こうすることで、税収基盤が広がるということですし、不平等の是正にもつながるということでしょう。
日本の場合は、あまり累進性は高くないようですね。
日本も、そう考えると、もう少し最高税率を上げても良いのかもしれません。
「成長」と「パイの配分」
「一言でまとめると、不平等と効率のあいだには絶対に確実な負の相関などない、ということになる。確かに、提案した不平等低減の手法の一部は、パイの規模に負の影響を与えかねない。その可能性は否定しきれない。でもそれが絶対に起きるという保証もないし、経済成長率の足を引っ張るとも断言できない。」(p.304)
不平等を是正すると、成長率が落ちて「パイ」が小さくならないか
不平等を是正しようと所得税を増やすなどすると、もっと成長しようという気持ちになりにくくなるので、全体が成長しなくなるのでは、という話があります。
たしかに、そういう面はあるのでしょう。
ただ、必ずそうなるかどうかはわからないということです。
底上げができれば、成長する可能性はあるということもあり、やり方次第だということです。
▼思ったこと
本書の主張を簡単にまとめてしまうと、不平等が問題なら、それを是正できる方法はあるから、やってみよう、ということです。
ただ、課題は、不平等が問題ということを共有できるか、ということと、仮に共有できても、方法に同意できるのか、ということでしょう。
このあたりができれば、不平等を改善して、格差を縮小させることはできるのではないでしょうか。
同意できるかどうか。ここが分かれ目なのかもしれません。
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21世紀の不平等
21世紀に、格差や不平等が広がっている。
不平等を縮小させるにはどうしたら良いのか、ということが書かれています。
イギリスが取れる政策の提案がなされています。
そこから、日本などの国にも、参考になることがあるでしょう。
不平等や格差に興味がある方が読まれると、参考になると思います。
▼ おすすめ度 ▼
★★★★☆
不平等を縮小させるにはどうしたら良いのか、ということが書かれています。
イギリスが取れる政策の提案がなされています。
不平等や格差の縮小に興味がある方が読まれると、参考になると思います。
▼ おすすめしたい方 ▼
不平等、格差について興味がある方。
ビジネスパーソン。
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